映画「ファニーゲーム」 の感想 |
あなたは犯罪者に絡まれたことはあるだろうか?私は一度だけ白昼堂々大阪の繁華街で2人組の職業犯罪者と思われる恐喝犯に凄まれたことがある。馬鹿みたいに顔を真っ赤にしてあーとかうーとか言っていたら結局向こうが根負けして被害はなかったのだが、本当に無茶苦茶怖いです。
この映画は犯罪者の中でも極め付きに怖い異常人格者二人組を描いた映画である。別に金が欲しいわけでもサディストでもむしゃくしゃしているわけでもなく、娯楽「ファニーゲーム」で一家全員を嬲り殺す異常者である。
生育環境も、教育もクソも関係なく、生まれつき良心も感情も欠片もない人間は昔から沢山いる。恐らく脳の病気なのだろう。私も高校時代その種の人間を見たことがある。そういう異常者の中には暇つぶしで人を殺すようなのもいるのである。この映画では3人家族が精神的に痛めつけ殺されるのをただひたすら冷徹に映像化した作品。
こういう異常者をよく知能が高いとか言っている人がいるのだが、どうなのだろうか?被害を受けている側はまあとにかく無茶苦茶怖いのである。まともに頭なんか働かない。一方加害者側は何事にも感情が無くて冷静なわけである。他人を痛めつけることにずっと思考を巡らせているのである。そりゃ知能が高く見えるだろうが・・・・・こういうのを本当に頭が良いと言うのだろうか?
日本におけるこの種の犯罪者が起こした事件として印象深いのは北九州監禁殺人事件である。この実際の起きた凄惨な事件と比べるとこの映画は非常にマイルドなのだがとにかく怖い。
犯人が終盤クズみたいな哲学話をしているのが笑ってしまった。この映画はオーストリア映画である。哲学ってオーストリアっぽくないだろうか?犯罪者の様な退廃した人間は、優秀な人間と比べるとよりその人間が帰属する国民性みたいなものがよく出るのである。北九州監禁殺人事件では物凄く日本的クズみたいな印象がした。
と感想を考えてみたのだが印象深い映画の割に余り気の利いた感想が思いつかない。教訓といえば異常者には近寄らないようにしましょうといった月並みなものしか考え付かない。他人に襲われ殺されるのは怖いというその生物学的恐怖を最大限表現した映画である。少なくとも私が今まで見たホラーとかサスペンスの中では一番怖い。1990年代の作品なのだが、低予算なせいか狙っているのか古い映画に見える。
高尚な文芸作品のイメージが強いミヒャエル・ハネケ博士の娯楽(?)映画。論理的で現実的な構成、粘着質な心理描写、絶望的な結末など20世紀初頭から続くドイツ圏映画の伝統に則している。